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貨幣状湿疹
貨幣状湿疹について
下肢に好発する貨幣大程度からさまざまな大きさの湿疹性病変です。
紅斑、水疱、あるいはびらん、痂皮からなり、落屑や角化が目立つことがあります。
原因
多くの場合原因は不明です。
虫刺され、細菌感染、接触皮膚炎(かぶれ)等の病変が先行することもあります。
金属アレルギーや歯科領域の感染症が関与していた症例報告があります(文献1、2)
乾燥がきっかけになることも知られています。
掻破を繰り返すうちに病変は拡大します。
好発部位
下肢前面に好発します。
その他上肢、腰や臀部にも好発します。
症状の経過
小型の紅斑から始まり、比較的早期に小水疱あるいは漿液性水疱を形成します(図1)。
それらが拡大し、貨幣大前後の境界明瞭な類円形の紅斑が単発、あるいは多発します(図2)。
初期には浸潤性変化が目立ちます。紅斑内には滲出液を伴い、痂皮も伴います。
掻破によって小水疱が破れてしまう場合もあります。
しばしば紅斑の周囲に丘疹や紅斑がみられます。
慢性化すると滲出液は少なく鱗屑や角化、皮膚の肥厚(苔癬化)が目立ちます(図3)。
病変が拡大あるいは増数すると近接部や遠隔部位に紅色丘疹、小水疱、小紅斑を主体とした衛星病巣が新生します。全身の皮膚に拡大し、悪化、重症化すると自家感作性皮膚炎の状態になります。



治療
ステロイド外用剤を塗布します。
1日1~2回外用します。
炎症症状が消退し色素沈着となるまで外用を継続することが肝要です。
かゆみが強い場合には抗アレルギー剤の内服を併用します。
難治性の場合には病巣感染や金属アレルギーの関与も考慮し(図4)、それらの検査を行う場合もあります。

参考文献
1.Adachi A, Horikawa T, Takashima T, Ichihashi M. Mercury-induced nummular eczema. J Am Acad Dermatol 2000; 43: 383-385
2.Tanaka T, Satoh T, Yokozeki H. Dental infection associated with nummular eczema as an overlooked focal infection. J Dermatol. 2009; 36:462-465