広島市南区段原日出の皮膚科、アレルギー科なら、しんどう皮ふ科アレルギー科

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段原SQUARE4階

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多汗症

発汗が増加する疾患を多汗症といいます。
発汗が増加する部位により全身性多汗症と局所多汗症、
原因面から原因不明の原発性多汗症、何らかの疾患に合併する続発性多汗症に分けます。

皮膚科に受診される患者さんは原発性局所多汗症が主であり、特に手掌多汗症、腋窩多汗症、頭部顔面多汗症です。

思春期から若年者の罹患率が高く、手掌多汗症の場合は「プリントが汗でぬれる」「パソコン作業が滞る」、腋窩多汗症の場合は「腕を上げることがためらわれる」「服の選択に困る」など患者さんは日常生活に多大な支障をきたしています。

当院では日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン」に則り、診療を行っています。
さらに2020年には新たに原発性腋窩多汗症に対して新たな薬剤としてエクロックゲルが処方できるようになりました。

原発性局所多汗症の診断

診断基準にてらして診断を行っています。
局所的に過剰な発汗が、明らかな原因がないまま6カ月以上認められ、以下の6項目のうち2項目以上あてはまる場合を多汗症と診断します。

  1. 最初に症状がでるのが25歳以下であること
  2. 対称性に発汗がみられること
  3. 睡眠中は発汗が止まっていること
  4. 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
  5. 家族歴がみられること
  6. それらによって日常生活に支障をきたすこと

その重症度としては

  1. 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない。
  2. 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある。
  3. 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある。
  4. 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある。

に分けられています。

治療

当院では腋窩多汗症に対するボトックス®投与(当院ではボトックス®投与は腋窩多汗症のみです。手掌多汗症、足底多汗症、頭部顔面多汗症にはボトックス®投与は行っておりません)、腋窩多汗症に対するエクロックゲル外用、多汗症に対する内服治療、塩化アルミニウム外用療法を行っています。

○A型ボツリヌス菌毒素製剤局所療法(ボトックス®注射)
ボツリヌス菌毒素が汗腺への交感神経刺激を遮断することで発汗を抑制します。
両腋窩に直接注射を行います。注射は5-10分程度かかります。
治療後2~3日で効果があらわれ、4~9か月にわたって持続します。
効果の程度や持続期間には個人差があります。
完治を目指す治療法ではありませんので、症状がふたたびあらわれたときには、あらためて治療を行います。
「重度の原発性腋窩多汗症」に保険適応があります。
当院では手掌多汗症、足底多汗症、頭部顔面多汗症にはボトックス®投与は行っておりません
費用の目安は3割負担の患者さんで約2万5千円です。
当院では最初の診察でお話をうかがい同意を得たうえ、2回目の診察で注射を行っています。
原発性腋窩多汗症患者の96.2%において発汗重量を50%以上減少させたとの効果の報告があり、効果の高い治療です。
ボトックス治療については以下のサイトを参照ください。
waki-ase.jp

〇エクロックゲル®外用
抗コリン作用を有する外用剤です。2020年に発売されました。
腋窩多汗症に対して処方するお薬です。皮膚表面に外用すると有効成分が皮膚から浸透して、エクリン汗腺の交感神経から発汗の指令を受け取る部分をブロックすることで、発汗を抑えます。
1日1回外用します。
主な副作用は、外用部皮膚炎6.4%、外用部紅斑5.7%及び外用部のかゆみ2.1%でした。
費用は3割負担患者さんで、1本1,462円ですのでボトックス注射と比較すれば安価です。
エクロックゲル®外用については以下のサイトを参照ください。
ワキ汗の情報・サポートサイト ワキ汗治療ナビ

○内服治療
抗コリン薬であるプロパンテリン臭化物錠(プロ・バンサイン®)が多汗症に対して保険適応があります。
眠気、口渇、眼の調節障害などの副作用に注意しながら内服します。
いずれの部位の多汗症に対しても投与しますが、外用加療を行いにくい顔面頭部多汗症に多く投与されています。
他の薬剤として診療ガイドラインでは“各種の自律神経症状”に適応のあるtofisopam(グランダキシン®)が記載されています。

重症度やほかの治療の適応を考慮したうえで、イオントフォレーシスや手術の適応と考えられる場合は適切な病院へ紹介させていただきます。

当院での「重度の原発性腋窩多汗症へのボトックス投与」の実績

2012年11月にボトックス®の局所注射が重度の原発性腋窩多汗症に対して保険適応となり、当院では2014年6月より同治療を行ってきました。

重度の原発性腋窩多汗症に対し、2020年12月31日までの約6年間で当院ではのべ505回のボトックス®注射を行ってまいりました。

●投与月(図1)

(図1)
月ごとの投与数です。
複数行った患者さんがおられますので、のべ505回で検討しました。
5月が95名(18.8%)と最も多く、次いで4月が83名(16.4%)、6月が76名(15.1%)、3月が55名(10.9%)、7月が48名(9.5%)、でした。
効果の発現、安定には数週間程度かかることが多いため、本格的な夏を迎える前に治療を希望される患者さんが多いようです。
ボトックス®の局所注射は原発性腋窩多汗症患者さんの96.2%において発汗重量を50%以上減少させた、との報告があり、投与された患者さんの満足度も高い治療です。

参考文献
1)藤本智子,横関博雄ほか,日本皮膚科学会ガイドライン 原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版.日本皮膚科学会誌 2015、125巻7号:1379-1400
2)藤本智子:多汗症診療の鑑別診断と治療 今後の展開.日本皮膚科学会誌 2021、131巻1号 Page29-33
3)藤本智子、多汗症の治療の行方.発汗学 2020、 27巻1号 Page13-19
4)糟谷 啓 戸倉新樹、腋窩多汗症に対するボツリヌストキシンの使用経験.発汗学 2019、26巻1号 Page29-30
5)大島雄一郎、玉田康彦、横関博雄ほか:原発性腋窩多汗症患者に対するA型ボツリヌス毒素製剤の治療評価.西日皮膚、2013;75:357-364
6)大島雄一郎、柳下武士、伊藤慶子ほか:重症原発性腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素(ボトックス)局注療法の有効性および患者治療満足度の検討.西日皮膚、2014;76:248-253