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ほくろ(色素性母斑)
ほくろについて
メラニン色素を産生するメラノサイトが増加する良性腫瘍です。
皮膚表面に生じる褐色から黒色の病変です(図1)。
時に表面は桑実状で色がないこともあります(図2)
出生時から存在する先天性母斑と後天性に生じる後天性母斑に分けられますが、多くは後天性母斑です。
ときに“ほくろのがん(悪性黒色腫)”との鑑別が問題となることがあります。

左右対称性の黒色のほくろです

表面が桑実状の、黒色でないほくろです
当院では「ほくろ」の診療では、以下の3点を中心に対応しています。
- 良性、悪性の判断
- 除去すべきか否か
- 切除する場合の方法
1.良性、悪性の判断
肉眼像、ダーモスコピーを使った検査によって良性悪性を判断します。
ダーモスコピーは特殊なカメラを病変に当てて病変の拡大写真を撮影する検査です(図3、4、5)。
痛みはありません。

カメラの先端を病変部に当てて検査します。


色素の分布やパターン、色の濃さなどで良悪性を診断します。
2.除去すべきか否か
悪性と判断した場合には治療が必要ですので周囲の基幹病院へ紹介いたします。
良性と判断した場合には基本的には放置してかまいません。
ただし、ほくろを除去したい希望がある場合にはできる限り対応いたします。
その他
- 「除去したほうが整容的に優れる」と判断した場合
- ほくろが皮膚表面にポリープ状に突出し、日常生活で不具合がある場合
- くし、髭剃りや剃刀などでほくろ表面に頻回に傷つく場合
- 頸部、腋窩、関節屈側など摩擦が起きる部位のほくろ
- 手掌、足底に生じた場合
などでは切除をおすすめすることがあります。
3.切除する場合の方法
当院ではレーザー治療ではなく、外科的な切除を行っています。
病変部に局所麻酔を行い、病変を切除し縫合する方法です(図6)。
縫合後の切除痕は残りますが、できる限り切除痕が目立たない切開線を選択しています。
切除後2~3カ月(人によっては半年程度)は切除部位に赤みが残ります。
手術後5~7日で抜糸のために来院いただく必要があります。
切除部位、ほくろの大きさによっては縫合せず切除した創をそのまま外用治療で治す場合もあります。
レーザーでの蒸散とは異なり組織を採取しますので、
病理検査に提出し顕微鏡検査を行い、良性悪性を確認します。

ほくろの疫学
ほくろ(後天性色素性母斑)は小児期から出現し、思春期以降に数が多くなります。
ほくろの多くは5mm以下の大きさです。1)
顔面や頸部に多く発生することが知られています。
良性悪性の判断
「良性のほくろ」と「ほくろのがんである悪性黒色腫」を肉眼的に鑑別する方法として
ABCDE ruleが知られています(図7)。
A=Asymmetry:病変の対称性
B=Boder:病変の境界が整か、不整か
C=Color:病変内の色の性状
D=Diameter:病変の大きさ
E=Evolving:病変の変化
肉眼的に以上の点を総合的に判断し、良悪性の可能性を考慮します。
診察ではさらにダーモスコピー検査を行い診断します。
ダーモスコピー検査でも良性悪性の判断が困難な場合には
病変を摘出し、標本を作製して顕微鏡で観察する病理検査で診断を確定します。

(Tsao H et al. Early detection of melanoma: Reviewing the ABCDEs. J Am Acad Dermatol 72; 717-723. 2015より)
ほくろの組織像
皮膚の表皮や真皮内に色素産生細胞であるメラノサイトが増殖します。
ほくろのタイプによっては真皮の深い部位にメラノサイトが達することがある(図8)ので当院では切除をおすすめしています。
(時にほくろの中央に毛が生えていることがあります。
その場合毛包に沿って深い部位までほくろの細胞が進展している可能性が考えられます)

切除の際、これらの切除を行います
手術について
病変部を全て摘出することを目的とし、さらに術後の瘢痕をできる限り目立たなくすることを考慮します。
術後2~3カ月から半年ほどは切除創に赤みが残りますが徐々に改善します。
(まったく手術痕が消えるわけではなく、1本の線として残ります)
手術は保険診療内で行います。
1)参考
公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 「メラノーマ(ほくろのがん)」(外部サイト)