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広島市 南区 皮膚科 アレルギー科 アトピー性皮膚炎 にきび じんましん

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疣贅(いぼ)

疣贅(いぼ)はヒト乳頭腫ウイルス(Human Papilloma Virus : HPV) 感染により起こる、頻度の高い疾患です。
HPVはDNAウイルスであり、上皮細胞に感染します。
現在100以上のタイプのHPVが知られています。
HPVのタイプにより、臨床型あるいは感染部位が異なります。
手足に生じる尋常性疣贅はHPV type 2が多く、他にHPV type 1, 4, 27, 57でも起こります。
扁平疣贅はHPV type 3, 10、外陰部の病変ではHPV type 6, 11の感染が多いとされています。
ヒトからヒトへの直接的あるいは器具などを介した間接的な接触で感染します。
潜伏期間は平均3か月程度とされていますが、数週から数年と一定せず、感染機会を特定できない場合も多くあります。

疫学

海外での有病率調査では調査者ならびに調査対象によりその結果は異なります。
全年齢層を対象にした場合、0.84%から3.3%との報告があります。
学童期の有病率報告では3.9%から33%とまちまちです。
一般的に、新生児期には少なく、幼小児期から十代で増え、二十歳代ではその頻度は減少します。
海外での文献では裸足での生活やスイミングプールなどが発症の危険因子とされています。

 

疣贅病変の自然史

尋常性疣贅は、一部の患者さんでは、自然に消えていくこと(自然消褪)も知られています。
患者さんの免疫能やHPVのタイプ、感染部位など種々の因子が自然消褪に関与します。
自然消褪を期待し、放置する場合もあります。
しかし、放置すると病変が多発・増数し、見かけが悪くなり、足底の病変では痛みをともなうことがあるため、診断した場合には積極的に治療する場合がほとんどです。

 

症状

尋常性疣贅の症状は、手足や肘膝に好発する表面が乳嘴状の角化性丘疹です(図1、図2)。
周囲皮膚との境界は比較的明瞭です。
自家接種により、病変が接する隣りの指等に、疣贅が拡がる場合があります。
足底では外方性の増殖が目立たず内方性に進展し、鶏眼(うおのめ)との鑑別が必要となる「ミルメシア」と呼ばれる病変を形成することもあります。


(図1)

(図2)
図1:爪囲に生じた疣贅。
図2:足底に多発した疣贅。一部は皮膚深層へ向かい内方性に増生しています。

(図3)

(図4)

(図5)
図3:早期疣贅の組織像
図4:HPVに由来する封入体構造は表皮顆粒細胞層にあり、ケラトヒアリン顆粒も粗造化しています。
図5:完成期の疣贅。疣状の増殖と過角化が目立ちます。
 

治療

●液体窒素凍結療法
液体窒素を含ませた綿球を病変に接触あるいは圧抵させます。
突出した病変では、液体窒素で冷却した鑷子先端を使って、病変を挟み治療します。
病変組織に対する冷却作用で細胞障害を起こす、血管収縮を起こす、凍結壊死した細胞に対する抗体産生による免疫賦活作用をうながす、などが機序として考えられています。
疼痛を伴うことが欠点です。
多くの施設で第一選択の方法です。
(当院でも第一選択として行っています)
●サリチル酸外用療法
サリチル酸は角質細胞間の接着性を低下させます。
スピール膏®(50%サリチル酸絆創膏)を1-数日間貼付し、浸軟した角質を除去する方法です。
ご自宅で数日ごとに貼付と角質の除去を繰り返します。
基本的に痛みは伴いません。
(当院でも対応可能です)
●活性型ビタミンD3外用療法
活性型ビタミンD3軟膏の薬理機序として皮膚における抗炎症作用、表皮角化細胞に対する増殖抑制作用、細胞周期調節作用が挙げられており、疣贅に対して有効な場合があります。
密封療法などの外用療法での効果が報告されています。
本剤を使用し消褪した場合には再燃しない例が多いことから、何らかの抗ウイルスの自然免疫を誘導する可能性が示唆されています。
ご自宅で塗布を行っていただきます。
基本的に痛みは伴いません。
(当院でも対応可能です)
●活性型ビタミンD3外用とサリチル酸外用併用療法
この2種の治療を併用することで治療効果が高まることが知られています。
ご自宅で入浴後に活性型ビタミンD3外用剤を塗布し、その上にスピール膏®(50%サリチル酸絆創膏)を貼付します
ずれないようにテープ等でしっかりと固定します。
次の日の入浴時にはがして、浸軟した角質層を除去します。
これを毎日繰り返します。
基本的に痛みは伴いません。
(当院でも対応可能です)
●モノ/トリクロル酢酸塗布
腐食作用の強いモノ/トリクロル酢酸を外用し、化学凝固、除去する方法です。
強固な腐食作用により痛みを伴うこともあります。
●接触免疫療法
疣贅部にアレルギー性接触皮膚炎を起こし、HPVに対する特異的免疫反応あるいは疣贅組織に対する特異的免疫反応を誘導し疣贅を排除する方法です。
当院ではSADBE(squaric acid dibutylester)を用いています。
通常は上腕内側で2%程度の外用を行い感作しますが、感作部位に潰瘍や色素沈着を起こすことがあるため、最初から疣贅に1%程度の感作物質を繰り返し塗布し、疣贅部で感作を成立させます。
1~2週間隔で病変部に感作物質を塗布します。
感作物質の塗布は医院で行います。
痛みは伴いません。
(当院でも対応可能です)
●ヨクイニンエキス内服
免疫活性化による抗疣贅作用により以前より用いられている内服療法です。
ヨクイニンエキス散あるいはヨクイニンエキス錠を内服します。
小児では比較的少量の内服より開始し、効果により増量します。
副作用はほとんどありませんが、下痢、胃腸障害を起こす場合があり、その場合は減量、中止します。
ヨクイニンエキス単独で治療する場合や、他の治療と併用する場合があります。
(当院でも対応可能です)
●グルタールアルデヒド塗布法
グルタールアルデヒドの有する表皮細胞の凝固作用と抗微生物作用により効果を発揮するとされています。
感作物質としても作用することから接触免疫としての効果も期待できます。
ただしグルタールアルデヒドは殺菌、消毒等に用いる物質であり、取扱いには十分な配慮が必要です。
塗布部位に色素沈着や潰瘍を形成することがあると報告されています。

当院では保険適応のある液体窒素凍結療法を第一選択としています。
処置時の痛みにより液体窒素凍結療法が施行できない場合や液体窒素凍結療法でも難治の場合などは、患者さんとご相談の上、液体窒素凍結療法以外の他の治療を選択させていただきます。

参考
Kwok CS et al : Topical treatments for cutaneous warts. Cochrane Database Syst Rev. 2012
江川清文ほか:疣贅治療now. MB Derma 193, 2012
牧野輝彦:手強いイボを治すには.日本皮膚科学会雑誌124:3044-3046、2014