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男性型脱毛症

男性型脱毛症(androgenic alopecia: AGA)は思春期以降の男性で、遺伝的素因に基づいて起こる脱毛症です。
前頭部、頭頂部の軟毛化より始まります。
次第に額の生え際が後退し、頭頂部の頭髪が減少します。

診断と分類

病型分類ではHamilton/Norwoodの分類が一般的です。
角額の後退が頭頂線(耳介の先端と頭頂を結ぶ仮想のライン)の前方2cmに達する(typeⅢ以降)が男性型脱毛症と診断されます。
しかし、本邦では2cmに達する前に頭頂部の脱毛が目立つタイプが多いために前頭部が後退しないで頭頂部が薄くなる II vertex を加えたHamilton/Norwood/Takashima分類が広く使用されています(図1)。
また前頭部のヘアーラインの後退が著明なタイプを variant としています。
アジア人種ではII vertexが多いことが特徴です。
日本人のフィナステリド内服患者の病型男性型脱毛症の病型分類でもII 型,III 型の軽症の割合が高く,中でも II vertex が 30% と多かったとされています1)
一方、女性の場合にも年齢とともに脱毛が進行することがあります。その時には前頭部のヘアーラインは比較的保たれ、頭頂部の脱毛が進行します。その分類にはLudwig分類が使用されます(図2)。
 

診断と分類
(図1)

診断と分類
(図2)
 

治療

日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」ではフィナステリド(プロペシア®)とミノキシジル(リアップ®)が推奨度A(行うよう強く勧められる)とされています。

 

フィナステリド(プロペシア®


フィナステリド(プロペシア®)
(図3)
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フィナステリド(プロペシア®)
(図4)
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フィナステリド(プロペシア®)
(図5)
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テストステロンをより強力なアンドロゲンであるDHTに変換するⅡ型5-α還元酵素を阻害します。頭皮組織中のDHT濃度を約60%減少させます。
わが国におけるフィナステリドの臨床試験は、48 週間投与時の頭頂部写真評価を主要評価項目として実施されています。
「軽度改善」以上の改善はプラセボ群では6%に対し、フィナステリド1mg/日投与群で58%でした(図3)2)
さらにフィナステリド1mg/日投与群では不変以上の効果は98%でした。
投与を3年間継続した試験では1mg日投与群の「軽度改善」以上の改善は 58% から 78%(77/99 例)に増加しました。不変を含めると98%であり、内服による進行抑制が期待できます(図4、5)3)
臨床試験が20歳以上を対象とされているために投与年齢は、20歳以上の成人男性です。
治療期間は、海外のコンセンサスオピニオンでは12か月継続の後に効果を判定すべきとされています。本邦でも6か月ほどの内服を行い、効果を確認することが勧められています。本剤の効果は内服を中止すると3-6か月程度で消失するので長期間の内服が推奨されています。
副作用は、国内の臨床試験ではフィナステリド1mg/日1年間の内服で2.9%に勃起機能不全、射精障害などの性機能障害がありましたが、プラセボ群と有差はありませんでした。ごくまれに肝機能障害が現れることがあるので、異常がある場合には薬剤の中止などの適切な処置が必要です。
また48週のフィナステリド1mg/日内服で前立腺癌マーカーである血清PSA濃度が約50%低下することが示されています。フィナステリド内服中の患者さんが前立腺癌診断の目的でPSA濃度を測定する場合には、2倍した値で評価することが必要です。
更年期以降の女性に生じたAGAにはフィナステリドは無効なことが確認されています。動物実験の結果から妊娠に投与すると男子胎児の生殖器官の異常をきたす可能性があるために妊娠または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌です。
添付文書でも効能・効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」であり、女性に対する適応はありません。
 

当院での処方
フィナステリド(プロペシア®)は、保険適応はなく、自費診療です。
当院では処方箋の発行を行っております。
発行した処方箋を調剤薬局へお持ちください。
内服回数
1日1回内服してください。
食事の影響を受けないので食前食後いつでもかまいませんが、血中濃度を安定させるために毎日決まった時間の内服をおすすめします。
効果発現までの期間
少なくとも6か月は内服してください。
他の薬剤との併用
併用が問題となるお薬はありません。
育毛剤との併用
頭皮につけるタイプの育毛剤・発毛剤との併用も問題ありません。
 

男性型脱毛症の病態

毛には毛周期があり、休止期、成長期、退行期を繰り返します。
一般には成長期は数年継続します。
男性ホルモンの影響により毛包の成長期が短縮し、硬毛が軟毛することで、男性型脱毛症が進行します(図6)4)
男性ホルモンであるテストステロンから活性化されたジヒドロステロン(DHT)が男性型脱毛症に大きく関与しています。
テストステロンはⅠ型、Ⅱ型5-α還元酵素の働きによってDHTに変換されます。
フィナステリド(プロペシア®)がⅡ型5-α還元酵素阻害薬であるのに対して2016年6月13日より処方可能となったデュタステリド(ザガーロ®)はⅠ型とⅡ型5-α還元酵素を阻害します(図7)。
 

男性型脱毛症の病態
(図6)
男性型脱毛症の病態
(図7)
 

デュタステリド(ザガーロ®


デュタステリド(ザガーロ®)
(図7)

デュタステリド(ザガーロ®)
(図8)
※クリックすると拡大画像が表示されます。

デュタステリド(ザガーロ®)
(図9)
※クリックすると拡大画像が表示されます。

デュタステリド(ザガーロ®)
(図10)
図10:デュタステリド内服24週後の頭皮の所見(文献6より)
※クリックすると拡大画像が表示されます。

 

2016年6月13日より処方可能となった男性型脱毛症治療薬です
フィナステリド(プロペシア®)がⅡ型5-α還元酵素阻害薬であるのに対してデュタステリド(ザガーロ®)はⅠ型とⅡ型5-α還元酵素を阻害し、ジヒドロステロン(DHT)の濃度を低下させます(図7)。

2010年Hee Chul Eunらの報告では、男性型脱毛症73例にデュタステリド0.5mg、75例にプラセボを6か月間投与し、毛髪数の変化を検討しています5)
6か月後の毛髪数の平均変化はプラセボ群が4.7本/cm2増加したのに対し、デュタステリド群は12.2本/cm2と有意に発毛が増加していました(図8)

2014年にはデュタステリドの国際共同試験の結果が報告されています6)
この試験ではプラセボ、フィナステリド(プロペシア®)、デュタステリド(ザガーロ®)の効果の比較が行われています。
プラセボ181例、デュタステリド0.02mg投与群185例、デュタステリド0.1mg投与群188例、デュタステリド0.5mg投与群184例、フィナステリド1mg投与群179例で検討を行っています。
治療24週後、頭頂部での直径2.54cmの円内での毛髪数の変化を評価しています。
プラセボ群が-4.9に対してデュタステリド0.02mg投与群17.1、デュタステリド0.1mg投与群63.0、デュタステリド0.5mg投与群89.6、フィナステリド1mg投与群56.5でした。
デュタステリド0.1mgおよび0.5mg投与群、フィナステリド1mg投与群がプラセボより有意に増加していました。
またデュタステリド0.5mg投与群はフィナステリド1mg投与群より有意に増加していました。(図9、図10いずれも文献6より)
副作用の発現率はプラセボ群15%、デュタステリド0.02mg投与群14%、デュタステリド0.1mg投与群21%、デュタステリド0.5mg投与群16%、フィナステリド1mg投与群20%で、各群ほぼ同様の頻度でした。
デュタステリドが投与された557例中の主な副作用は、勃起不全(4.3%)、性欲減退(3.9%)、精液量減少(1.3%)でした。

デュタステリド(ザガーロ®)は内服期間が3か月で効果があらわれる人もいますが、通常6か月内服を継続する必要があります。
本剤は「男性における男性型脱毛症」の適応であり、女性や子供は服用してはいけません。また本剤は経皮吸収されることから、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないようにしてください。漏れた薬剤に触れた場合には、直ちに石鹸と水で洗ってください。
デュタステリド内服中は前立腺がんのマーカーである血中PSA値を減少させるため、PSA検査を受ける際は必ず担当の医師に知らせてください。
 

当院での処方
デュタステリド(ザガーロ®)は、保険適応はなく、自費診療です。
当院では処方箋の発行を行っております。
発行した処方箋を調剤薬局へお持ちください

 

 

文献

1)
宮倉 崇,大越加奈恵,水上潤哉ほか:フィナステリドによる内服治療を実施した男性型脱毛症患者の病型分類と内服薬の有用性,患者アンケートに関する解析,日皮会誌,118 : 213―219, 2008.
2)
https://www.msdconnect.jp/products/propecia/medical_1y.xhtmlより
3)
https://www.msdconnect.jp/products/propecia/medical_3y.xhtmlより
4)
http://www.aderans.co.jp/corporate/rd/case/hair_restoration02.htmlより
5)
Hee Chul Eun et al: Efficacy, safety, and tolerability of dutasteride 0.5 mg once daily in male patients with male pattern hair loss: A randomized, double-blind, placebo-controlled, phase III study: J Am Acad Dermatol 63:252-258, 2010
6)
Walter Gubelin Harch et al: A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia: J Am Acad Dermatol 70:489-498, 2014